文化芸術を復興の力に

2012年3月15日木曜日

東北支援

t f B! P L
以前、活動に関するアンケートが封書で届きましたので、JMAAの活動について回答した所
「文化芸術を復興の力に」というシンポジウムの案内状が届きました。

文化庁長官も来られるということで、
政府が考える「文化芸術による復興推進」とは、具体的にどんなことだろう?という興味から
さりとて期待もせず、出張のついでに参加してきました。


パネリストの先生方は、以下の通りです(敬称略にて失礼します)

赤坂 憲雄 (学習院大学教授・福島県立博物館長・東日本復興構想会議委員)

大澤 隆夫 (仙台フィルハーモニー管弦楽団専務理事)

近藤 誠一 (文化庁長官)
紺野 美沙子(俳優・朗読座主宰・国連開発計画(UNDP)親善大使)

島田 誠  (アーツエイド東北評議員・(公財)神戸文化支援基金理事長)


結論から言うと、期待していたものより随分良かったです。

私みたいな人間が「良かった」と言うのはおこがましいのですが
偉い先生方も、有名な女優さんも、
JMAAを含む小さな草の根活動と同じ課題に悩み、心を痛め、
模索しているのだということがよくわかったし
何より、文化・芸術という自分の専門分野からみる復興推進のお話でしたので
とても身近に感じられる内容で、嬉しかったのです。

根こそぎ失ってしまった土地を前に、がれきの山を前に、
誰もが自身の無力を噛み締めた、この1年。
それでも何かしら出来ることは無いかともがき続けた、この1年。

がれきの山こそ、少しは片付いたかもしれない。
食べること、寝ることなどのライフラインは確保されたかもしれない。
でも、人が生きて行くために大切なことは、それだけじゃ足りない。

仙台フィルハーモニーの大澤さんは
団員が皆、被災者でありながら、1年間で200回もの演奏会をされました。
非日常な生活の中で、「あるべき所に、音楽がある」
コンサートが、被災された方々が日常に戻れるきっかけになったと話されていました。

私が最も心にしみたのは、赤坂先生のお話でした。

更地になった土地に点々と花が手向けられている。
そこには、津波に堪えた鳥居や、神社があり、誰が言うでもなく花を手向け、手を合わせる。
震災を機に、消えかけていた伝統芸能が、被災地の至る所で息を吹き返している。
というもの。

人間の潜在的な求め。
祈るような気持ち。
被災地で見聞きする数々の奇跡。

これは阪神大震災の時も同じでした。
道路を境に火の手が止まった。
そこにたまたま教会があり、たまたまジーザスの像があった。
偶然かも知れない。でも多くの人がそこで手を合わせていた。

文化芸術、宗教を含めた民俗芸能は、
人が生きるために「大切な何か」を持っている気がしてならない。
JMAAのスタッフの皆も、その力を信じるからこそ、
忙しい仕事の合間を縫って、アートを通じて支援活動をして来れました。

文化庁長官のお話も、非常にリアルで、
政府のグランドビジョンと、現地の細かなニーズの狭間で
葛藤されていることがよく伝わってきました。

東北の方の声に耳を傾け、
しかし、聞くだけではなく、リードしていかなければならない
でも、おしつけになってはいけない。
そこの答えが、出ないのです、、と、
だから皆で、これから始まるコンソーシアムで
知恵と情報を持ち寄って、その答えを探しましょうと。

被災地では、すでに分裂や対立も産まれています。
その中で、人と人が利害を超えて繋がって行くツールとして
音楽や、アートや、伝統文化、芸能に出来ることは沢山あるはず。

そこで印象に残ったのが、紺野美沙子さんの言葉。
紺野さんは、被災地で朗読などの活動をされているのですが
「1つ後悔していることは、手伝ってくださった方々が皆手弁当だったこと。
1度や2度ならそれでもいいが、長く続けるには、精神的、経済的に楽になれるよう、何らかのシステムが必要だ」
という、
私たち弱小団体にとっても慢性的な課題である「手弁当」に触れてくださったこと。

有名な女優さんでも、私たちと同じことに心を痛めているのだと思うと同時に
このような方々が口にしてくださることで、社会は少し変わるのかもしれないと思えたのでした。

神戸の震災後、市民メセナを立ち上げ
アーティストへの助成や詩集の出版などを実施された
アーツエイドの島田さんは、

ちょっと確実な言葉では覚えていないのですが、、

文化芸術を支える力として
CSRや、助成団体は=筋肉
アーティストやNPOリンクは=筋肉
無名の市民は=毛細血管
それぞれの役割によって支えられるべきという
とてもわかりやすいお話をしてくださいました。


話は興味深いものが多く最後までいたかったのですが、
次の会議が押していて、名残惜しくも途中退席することにしたのですが
赤坂先生のお話がどうしても気になって、最後にそれだけを聞いて退席することにしました。

それは

政府に提出する東日本復興への提言書に
意図的に「文化芸術」の言葉を随所にちりばめたのだが
半年かかって政府が作り上げた書類から「文化芸術」の言葉が消えていた、というもの。
「何故消えているのか?」と、質問した所
「それは雑費から出せます」との回答。


『「文化芸術」のために出せる仕組みそのものが無いのだ』
ということがわかったと。

寄付、文化を支える仕組み
そのものを、草の根から作って行く必要があると。

このような人たちが作るコンソーシアムのこれからに
ちょっと期待したい気持ちになり、次の会議へ走ったのでした。

ブログを書きながら
紺野さんの素敵な言葉を思い出していました。

文化芸術は東北だけでなく、日本で、世界中で大切なもの。
見えないものを見る力
痛みに寄り添うことが出来る。


上手く言葉にならない気持ちもあるのですが、参加して良かったです。


私たちは信じます。芸術には力があると。




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